香りと記憶の関係|なぜ匂いは昔の景色を思い出させるのか
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ふと漂ってきた香りで、
忘れていた景色を思い出すことがあります。
雨上がりの土の匂い。
夏の草木の青い香り。
昔住んでいた家の匂い。
大切な人が身につけていた香り。
名前すら思い出していなかった記憶が、ひとつの香りをきっかけに、突然よみがえる。
なぜ、香りはこれほど記憶と結びつくのでしょうか。
今回は、香りと記憶の関係をたどりながら、暮らしの中に香りを置くことについて考えてみます。
香りは、記憶を呼び起こす「きっかけ」になる
香りをきっかけに、昔の出来事や景色が思い浮かんだ経験がある人もいるのではないでしょうか。
研究でも、匂いが個人的な出来事についての記憶、いわゆる自伝的記憶を呼び起こす手がかりになり得ることが報告されています。
香りそのものに記憶が保存されているわけではありません。
ある出来事を経験した時に、その場所にあった香りも一緒に記憶され、その香りを再び感じた時に、当時の出来事を思い出すきっかけになることがあります。
香りは、忘れていた記憶への
小さな扉になることがあります。
嗅覚と、感情・記憶を担う脳との関係
鼻から入った香りの情報は、嗅球を経て脳のさまざまな領域へ伝えられます。
その経路には、感情に関わる扁桃体や、記憶の形成や整理に深く関わる海馬などとの密接なつながりがあります。
こうした嗅覚と感情・記憶に関わる脳領域との関係が、香りによって過去の出来事や感情が呼び起こされる背景のひとつと考えられています。
ただし、「香りだけが特別なルートで記憶へ直接届く」と単純に説明できるものではありません。
記憶は、香りだけでなく、景色や音、味、その時の感情など、さまざまな情報と結びついて形づくられています。
「プルースト現象」とは?
香りや味をきっかけに、過去の記憶が突然よみがえる現象は、一般に「プルースト現象」と呼ばれています。
名前の由来は、フランスの作家マルセル・プルーストの小説です。
物語の中で、語り手が紅茶に浸したマドレーヌの味と香りをきっかけに、幼い頃の記憶を鮮やかに思い出す場面があります。
この文学的な描写をきっかけに、匂いによって呼び起こされる自伝的記憶について、多くの研究が行われてきました。
研究では、匂いが過去の個人的な出来事を思い出す手がかりになり、感情を伴った記憶を呼び起こすことがあると報告されています。
香りが連れてくるのは「記録」だけではない
香りによってよみがえる記憶は、写真や文章のような正確な記録とは少し違います。
「あの時の空気。」
「あの場所にいた感じ。」
「なぜか懐かしい。」
出来事そのものだけでなく、その時に感じていた感情や空気感まで一緒に思い出すことがあります。
もちろん、記憶はいつも完全に正確とは限りません。
それでも、香りによって呼び起こされる記憶には、単なる情報とは違う、個人的な感覚が含まれています。
暮らしの香りが、いつか記憶になる
香りと記憶の関係を考えると、香りは「昔を思い出すもの」だけではないことに気づきます。
今感じている香りも、いつか未来の自分にとって、今日を思い出すきっかけになるかもしれません。
朝、身支度をする時の香り。
仕事を始める時の香り。
夜、静かに過ごす時間の香り。
同じ時間や場所で繰り返し香りを楽しむことで、その香りと日々の出来事が結びついていくことがあります。
今日の香りが、
いつか今日を思い出す香りになる。
日本の暮らしの中にも、記憶に残る香りがある
日本の暮らしを振り返ってみると、季節や場所と結びついた香りがたくさんあります。
雨に濡れた木。
新しい畳。
柑橘の果皮。
森の中の葉や樹木。
季節の花。
どの香りに懐かしさを感じるかは、人によって異なります。
けれど、自分が過ごしてきた場所や季節の中にあった植物の香りが、記憶と結びついていることもあります。
日本の植物から生まれる和精油を楽しむことは、植物の香りを通して、自分自身の風景や季節へ意識を向けるひとつの方法でもあります。
香りを「記憶させよう」としなくてもいい
香りと記憶に関係があるからといって、特別な思い出をつくるために香りを使う必要はありません。
大切なのは、その時に心地よいと感じる香りを、自然に暮らしの中へ置くこと。
朝の光。
仕事をしている時間。
静かな夜。
そんな日常の中で繰り返し出会う香りが、結果としてその時間の記憶と重なっていくことがあります。
華道家・美榮が考える、香りと時間
WASEIYUⒷ by BIEIは、華道家・美榮の感性と、和精油・天然精油の香りから生まれたフレグランスです。
花は、同じ姿のまま永遠にそこにあるものではありません。
咲き、移ろい、やがて姿を変えていきます。
だからこそ、その瞬間の美しさに目を向ける。
香りもまた、空間の中に現れ、少しずつ薄れ、やがて消えていきます。
目には見えなくても、その時間を感じるきっかけになる。
香りは、もう一つの花。
WASEIYUⒷ by BIEIでは、香りを強く残すことよりも、今いる空間や時間にそっと寄り添うことを大切にしています。
朝・日中・夜。時間とともに楽しむ三つの香り
WASEIYUⒷ by BIEIには、一日の時間に寄り添う三つの香りがあります。
まとめ|香りは、時間と記憶をつなぐきっかけになる
香りは、過去の出来事や感情を思い出す手がかりになることがあります。
そして今感じている香りも、いつか未来の自分にとって、今日を思い出すきっかけになるかもしれません。
特別な日にだけ香りを使う必要はありません。
朝。
日中。
夜。
何気ない日常の中に、自分が心地よいと思う香りを置いてみる。
その小さな時間も、いつか自分だけの記憶の風景になっていくのかもしれません。
WASEIYUⒷ by BIEI
今日の香りを、今日の時間に。
華道家・美榮の感性と、和精油・天然精油の香りから生まれた三つのフレグランス。
朝・日中・夜。それぞれの時間に寄り添う香りをお楽しみください。